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PTA役員からCoderDojoチャンピオンになったお話

2021年「CoderDojo」

アドベントカレンダー

参加によせて、

振り返ってみました

· プログラミング,教育あれこれ,ワークショップ,渋谷区

 

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※今回のblogは、「CoderDojo」のアドベントカレンダー用に、いつもより長文で書いております。

 全てはPTAから始まった……。

 なぜPTA役員だった私が、渋谷区でCoderDojoを始めるにいたったか、その経緯を記録することにより、どなたかのアンテナや心に引っかかり、CoderDojoの輪が広がっていくことを願っています。

 

■東京都渋谷区の公立小学校でPTAをICT化

 現在、私はCoderDojo 渋谷@みらい区のチャンピオンを務めさせていただいております。素数ってなんとなくおしゃれよね……とか思いつつ、生粋の文系の私は、いまだアルゴリズムや変数の概念に苦しんでいます。

 そんな私がCoderDojoを始めるきっかけとなった1つがPTAでした。

 コロナ禍以前の2018年、渋谷区のとある区立小学校で、私は4年生の子どもの保護者として、PTAの役員を1年間務めることになりました。PTAの役員は、他校では「執行部」や「本部」などとも呼ばれていますが、とにかく仕事が多い。それなりに時間も気持ちも割く必要のあるハードな役割です。

 せっかくやるのであれば……と、色々と無駄の多かったPTAのルーチンワークを見直し、会長とともに「一大ICT化」計画に乗り出しました。といっても、そんなにすごいことをやったわけではなく、具体的には以下のことをやってみました。

  • PTAホームページでの情報発信
  • 役員の連絡を、LINEからSlackへ
  • データはすべてGoogleドライブで管理
  • アンケート、PTA総会の出欠はGoogleフォームで

 幸い、その年のPTA役員のメンバーはみなさん柔軟な方ばかりで、初めての「Slack」もすぐに受け入れていただき、比較的順調にICT化を進めることができました。

 また、その成果をまとめて「ICT夢コンテスト」に出したところ、なんと「日本教育新聞社賞」をいただき表彰され、他校のPTAから「参考にしたい」と相談がくるほどになったのです。

 

■2018年に「1人1台端末」を使ってプログラミング教室を開催

 そんな中、私がどうしてもやりたかったのが、「プログラミング勉強会」でした。

 渋谷区は、GIGAスクール構想が始まる以前から「1人1台端末」を実現化し、渋谷区立の小中学校では、2in1のWindowsノートPCが配付されていました。

 が、あまり活用されていないと感じた私は、それまでの教育ライターとして培っていた経験を生かし、「プログラミング勉強会」の開催を提案したのです。

 渋谷区の学習者用端末にはプログラミング学習ソフトとして、DeNAの「プログラミングゼミ」がインストールされており、取材でDeNAさんとご縁のあった私は、開発者の方に講師をお願いし、快く引き受けていただくことができました。

 このあたりを説明しているととてつもなく長くなるので割愛しますが、学校公認で開催するためには、それなりの手順はふみました。校長先生、副校長先生へ企画書を持っていき説明し、できるだけ学校側、先生方に負担のかからない方法を模索しました。

 そうした段取りが功を奏し、とても協力的にことを進めることができたのです。

 

■ICT化の挫折……そして「渋谷区こどもテーブル」として再起動

 しかし、その後も定期的に開催したいと思ったPTAでのプログラミング教室は一回で終わってしまいました。ひとつには、ICT化を一緒に推進してきたPTA会長が卒業してしまったことにあります。

 翌年は、「システム委員」という新しい役職で役員に残りましたが、昨年度のように精力的に活動することができず、せっかく導入したSlackもあまり使われなくなり、ICT化も風化しかけたのです。

 PTAにおける私のモチベーションはずるずると低下していき、PTAの限界を感じてしまったのです。そこで、新しい方法として考えたのが、「渋谷区こどもテーブル」でした。「こどもテーブル」は渋谷区独自の取り組みで、あまり聞きなれない言葉ですが、簡単に説明するときは「こども食堂のお勉強版」と伝えています。

 PTAと異なり、子どもが卒業した後も、地域で子どもたちの学びや興味関心を育む活動ができる。そう考え、同じ考えをもっていた元PTA会長との2人で「渋谷区こどもテーブル『みらい区』」を発足しました。

 みらい区自体はプログラミングに限らず、それぞれの得意を生かし、子どもたちに様々な体験を届ける活動をしています。

 ちょうどその頃、CoderDojo関連の取材を通じて、CoderDojoの思想、目標とするところに大いに賛同した私は「みらい区とCoderDojoを兼ねよう」と考えついたのです。完全無償で行うことについては、もともとの予定でしたので、2つを兼ねることにはあまり違和感はありませんでした。

 そして「渋谷区こどもテーブル」として発足したみらい区は、同時に「CoderDojo渋谷@みらい区」となりました。

 

■11月より対面でのCoderDojoを再開

 こうして前のめりにスタートしたみらい区でしたが、あいにくコロナ禍と子どもの受験が重なり、2020年度からはオンライン開催をしたきり、対面の活動ができませんでした。

 ようやく落ち着いてきた2021年11月、対面での開催を再開しました。

 渋谷区の区民施設をお借りし、人数をしぼっての開催となりましたが、全部で5名の小学生と、その保護者の方が参加してくれました。

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 私たちのCoderDojoはまだ不定期開催のため、定期的に通うNinjaがとても少ないのです。そのため、しばらく体験会という形で、プログラミングに親しんでいただき、裾野を広げていきたいと思います。

 幸い、私たちの趣旨に賛同して下さる方も少しずつですが増え、教材のお貸出し、メンターとしてのご参加などもいただけるようになりました。

 まだCoderDojoとしては新米ですが、これから渋谷区とその界隈で、「プログラミングって楽しい」「ものづくりにもっと挑戦してみたい」と思える子どもたちのきっかけになる場を、引き続き作っていきたいと思います。

 

■CoderDojoに携わるすべての皆様へ

 この記事を読んでくださった方で「自分でもやってみたいな……」と思っていらしたら、ぜひチャレンジしてみてください。

 開催までの準備、会場探し、何よりも参加者を集めることはなかなか難しく、自分が思っていたより現実は厳しいこともあります。それでも、参加してくれた子どもたちが、このCoderDojoで「楽しい」と感じ、少しでも何かを持ち帰ってくれたら、私はそれだけで「CoderDojoをやってみてよかった」と思えます。

 CoderDojoは全国にあり、沢山の方々が関わっています。先人の知恵やアイデアもたくさんあります。そうした方々の後に続く1人になり、私の後から始めた方々の背中を押す存在になれればいいな。

 そんな風に思いながら、今日もCoderDojoのことを考えています。

 ちなみに次回は12月19日に、渋谷区のカフェで開催します。今回は、私の大好きなロボットトイ「toio」を使っての体験会です。今度はどんな笑顔に会えるのか、今から楽しみです!

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